古材と本がつくる空間
余白が、美しいと思った。
やりすぎないこと。
「ここにお金をかけるの?」と思うようなところに、きちんと手がかけられていること。
壁一面に並ぶ本。
よく見ると、それを支えているのは、昔のタンスの引き出しや古材たちで、
ひとつひとつはバラバラなのに、なぜか静かに統一されている。
ここのリノベーションは、ReBuilding Center JAPANが手がけている。
ふつう使わないであろうものを棚として使い、
本は天井近くまで、贅沢に敷き詰められている。
圧巻で、そして唯一無二の佇まいだった。

二日通って感じたこと
とても気に入り、二日連続で行く。
1日目は、キーマカレーとカフェオレ。
2日目は、ドーナツと珈琲。
座っている一人用の机は古いけれど、丁寧に手入れされていて、すっと身体になじむ。
余白が多いからこそ、
ここに置かれているものすべてが「意味を持ってそこにある」ように感じる。


スタッフの方も自然体で、違和感がない。
泊まっていたゲストハウスのスタッフと兼業している女性が、ここでも働いていた。
一日目は、代表の方がレジに立っていて、少し驚いた。
にこにこと対応してくれて、ああ、この人がつくっているんだ、と思った。
この本屋も、
そして昨晩訪れて心を揺らされた、あの銭湯も。

「引き算」でつくられた場所
足し算は、かんたんにできる。
でも、引き算は違う。
意図がなければ、怖くてできない。
削ぎ落とすことは、
誰かにわかりやすく説明しきれるものではないし、
経済合理性だけでは語れない。
それでも、この人はこれを選んだのだと思う。
だからこそ、届く。
すべての人じゃなくていい。
でも、きっとずっと愛してくれる人にだけ、深く届いていく。

本は本来、情報のはずなのに、
ここではもう「情報」には見えなかった。
「まってるからね」
「あなたのペースでいいからね」
そんなふうに、静かに語りかけてくる。

居場所とはなにか
この空間にいると、
誰かに抱きしめられているみたいな気持ちになる。
誰とも話さないのに、なにかを言われたわけでもしてもらったわけでもないのに、すとんと胸を撫で下ろすように、ここにいていいと思える。
むしろ、ここにいたいと思える。
これが、ほんとうの居場所なんだと思った。

こんな場所を、一貫してつくり続けられること。
それは希望であり、
同時に、どうしようもなく悔しくもなる。
このかっこよさと、あたたかさ。
正直、うらやましいと思った。

気づけば、
ぼろぼろと涙がこぼれていた。
わたしは、この人がつくるものが、すごく好きだ。

栞日で出会った本
栞日で購入した本たち。
山本ひかるさんは以前ここで働かれていた方で、今も松本で暮らしているのだそう。
イラストやつくるものが好きで、ずっと欲しかった一冊を手に取った。
『ともたち』は、
諏訪から埼玉・飯能へ移り、「本屋ひとりごこち」をひらいたデザインスタジオ・ひとりごこちによるデザインだと知り、購入。
代表のまひろさんの仕事が好きで、ずっと追いかけている。
『社会関係資本主義』はタイトルに惹かれて手に取った一冊。
最近読んだ中でも、とくに心に残った本だった。

栞日から少し歩き、川沿いへ。
石の上に座って、日向ぼっこをしながら本を読む。
なんて素敵で、ここちのよい日なのだろう。
なんて素敵で、ここちのよい場所や自然があるまちなのだろう。

店舗情報
栞日
- 住所
〒390-0815 長野県松本市深志3丁目7−8 - 営業時間
7:00〜20:00 - 定休日
水曜日
※こちらの記事は2026年5月時点の情報です。
最新の営業状況は、公式Instagramをご確認ください。
Instagram(@sioribi)



コメント